こちらでもご案内した、現在オランダより一時帰国中の酒井穣さんの「あたらしい戦略の教科書」発刊記念講演会、昨日弊社大ホールにて、定員50名の読者の方に加えて、小飼さん、内藤忍さん(秋に弊社から新刊が出ます!)ご夫婦(奥さまがあまりにおきれいなので一同言葉もない)、プレジデント副編集長さま、そして、酒井さんがブログでもご紹介のJENの村沢さんらをお迎えして、盛況のうちに無事終了。
詳しくは、こちら、内藤さんのブログや新宿の若だんなさんのブログでご覧いただくこととして(当日の写真は、月曜日にでも、社長室長タナカが多分ご報告すると思う)、私からは、内容を少しと、そこから派生して、考えてることを。
まず、講演のキーワードは、差別化と戦略。
・酒井さんご自身が、転職に際し、7つのシリコンバレーからのオファーを断り、オランダからのオファーをお受けになったのは、競合からの差別化を図った、ご自身のキャリア戦略。
・オランダが、残業なしのワークシェアリングを実現し、一人あたりGDPで日本を大きく抜く、労働生産性を生み出しているのも、ヨーロッパの大国に挟まれたなかで、他国と差別化できる強みを見いだし、戦略をもって、遂行しているから。
(これについては、マリファナ(中毒性はない)を解禁することによって、ヘロイン、LSDなどの麻薬中毒がもたらす犯罪への対策としているなどの例が示された。)
残業なしという点については、6時にはお店が閉まってしまうという徹底ぶり、ということだが、ずいぶん前にワークシェアリングを取り入れて話題になったドイツでも、その後、うまくいかなかったと聞いているのに、オランダではうまくいっているのは、なぜ?
いま、日本でそんなことをしようと思っても、労働側は、その分、お給料が減るのを拒否するだろうし、かといって、今の時間あたり生産性のまま労働時間だけ減らして同じ給料よこせとなったら、生産性の高い人だけ残して、あとはリストラするか、会社を潰すしかなくなっちゃうし。
今日のお話にはなかったが、オランダも、80年代までは、長時間労働。にもかかわらず、経済は低迷。で、政・財・労が一致協力して、今の体制にいっせいのせ、で転換させたとか。
人口が少ない(1600万人)から、皆で決めたリーダーのもとに動く体制、家族家庭重視の社会とか、いろいろ土壌はあったようだが、それでも、「戦略の教科書」にもあったように、
戦略で最も重要な点、すなわち、その遂行、実行が、行われたのはなぜ?
実は、ちょうどおとといお昼をご一緒した社会学者の山田昌弘先生(弊社ではいま、「婚活時代」でご紹介していますね)にも、この点をうかがってみた。
1 経済がもうどうしようもないところまで追い込まれていた
2 50代・60代以上の人に辞めてもらい、その代わり、若い人の雇用を拡大し、夫婦二人でワークシェアしながら働けば、子どもが育てられる程度の収入となるよう、みなで配分するほうが、社会が活性化し、国全体の経済が好転することに対して、政・財・労が合意した
というようなことだった。
50代60代の人が退職しても生きていける社会保障がもともと備わっている(失業保険、年金などが破綻していないだけでなく、医療費もタダ)というか、それを支える税金の高さ(個人が払う税金類は、所得の平均42%〜48%だとか。日本は35%程度)に納得しているという背景もあったようだ。
(それにしても、そんなに税金が高いとたくさん稼ぐトップ層は、アメリカなどに、移住してしまわないのかしら。かつての(?)イギリス人やデンマーク人などのように)
もちろん、オランダは、一つの例に過ぎない。日本とはあまりにも、その背景が異なる。国土面積も人口も異なる。くわえて、マネしたくない点もたくさんあるし、日本の方が優れている点もたくさんあるように思う。
それでも、オランダのケースを知りたくなるのは、国土が狭く、資源もなく、イギリスのように金融の拠点となる機も失った(いまは、世界経済の拠点は、ニューヨーク、ロンドン、香港もしくは上海。東京は不要←以前書いたこちらのエントリーをご参照を)日本が、これからいったい、何で差別化し、生き延びていくのか?
そろそろ、そのことを私達一人ひとりが真剣に考えていかなければならないと思うからだ。
戦後モデルとしてきたアメリカモデルは行き詰まっているし、そうでなくても、アメリカとはそもそも違う。さまざまな国の戦略を知ることによって、そこにヒントが転がっているかもしれないと思うからだ。
ひろく視点を広げつつ、まずは、自分の会社から。
ひとりひとりのボトムアップの戦略が、国を動かしていくーー「あたらしい戦略の教科書」の帯にある「現場」とは、私達一人ひとりのワークライフの現場でもあった。
と、いささか抽象的な論文調になってしまったが、15歳の息子が将来生きる社会を思うと、結構マジだったりするのです。