出版書店業界の課題 韓国の場合は…… ●干場
出版業界の課題の話題が盛り上がっている(?)ところで、本日、韓国で、業界3位を争う出版社の方がお見えになって、いろいろうかがいました。
いずこも同じ、出版社の悩み。韓国は、もともと日本よりさらに小規模出版社の連合体なのに、これでは、倒産する出版社があとをたたないのもしかたないな、という驚きの韓国出版事情。
ご興味のある方はどうぞ。
1 出版点数は、日本とほぼ同じ年間8万タイトル。価格も、文芸900円、ビジネス1200円と、日本(1300円くらい)とさほど変わらない(ほかの物価は、まだ日本より安いのに!)
つまり、1冊あたりの売れ部数が非常に少なくて、2〜3000部。7000部で、ヒットといわれるほどだとか。なので、初版は1000部がふつう(日本は、4000〜8000。勝間さんのフレームワークは、6万でしたが!)
2 書店数は2万と、日本より狭いのに、日本(16000軒)より多い。でも、トップの教保文庫がシェアの10%。ちなみに、日本のトップは、紀伊國屋さ
んで、シェア8%。でも、70軒前後あるのに対し、教保文庫は7店舗しかないとか。つまり、1店舗が、3000坪とか、すごく広い。
その他、だいたい全国150店で、メインの書店は、網羅されてしまうそう(日本の場合、上位2500店というところでしょうか)。
3 出版社は、直取引と取り次ぎの両方を使い分ける。つまり、売上げの大半を占める上位150店舗の書店さんには、直取引で。残りの書店さんは取り次ぎさんがとりまとめる、ということです
(日本では、そういう虫のいい話は通らないので、なかなか魅力的ですね?)。
4 出版社から書店への掛け率は61%ぐらい。返品率は10%。印刷代は、日本の半分。さぞや、いい条件かなと思いきや……
5 実は、先日、韓国のエージェントの方もいらして、うかがったのですが、韓国では、大手書店は、みな個別に、オンラインショップを持っていて、アマゾンより 強く、実は、書店の売上げの半分がオンラインショップ。というのも、表面上は、再販制度(価格統一)なのに、オンラインショップでは、なにかれとクーポン や2TO 1(2冊買うと、1冊タダ)で、事実上、2割引は当たり前の世界だとか。
それでは、書店さんは大変と思いきや、本日、うかがったところによると、そのクーポンも、出版社が払っているとのこと! さらには、大手書店のフェア台は、棚代までとっているとか!!
さらに!
6 韓国の書籍の6割が翻訳物。内訳は、4割がアメリカを中心とする欧米。2割が日本。
で、そのアドバンス(最初に払う印税)が、年々つりあがり、日本でもいま、ランダムハウス講談社から出ている「最後の授業」が、日本の数倍以上のウン千万円。上記のように、日本よりずっと小さな市場なのに。さらには、日本の10倍ぐらいのプロモーション費用をかけないと売れないとか。ちなみに、弊社の今月の新刊「スキニー・ビッチ」も、弊社がはらったアドバンスの数倍で、韓国の出版社は買ったのだとか。
それでも、利益が出たりするのは、日本以上に、一つのものに群がる気質というか、みんなが読んでるとなると、わーっとみんなが買うから、ということみたいです。
ところで、ここまでに書いたことで、気になることが2点。
一つは、印刷代が半分だという点。人件費は、ほとんど同じだそうです。なのになぜ? 調べてみたら、紙代と製本代が半分以下だとか。昔と比べると、日本とさほど品質が劣るとも思えないのに。日本の印刷所も、紙屋さんも、製本屋さんも青色吐息だというのに、なぜ? このあたり、次にお目にかかるときまでに、も少し詳しく調べてきてくださるそうです。
ちなみに、タクシーの運転手の平均月収、日本円で25万円とさほど日本と違わないのに、そして、ガソリン代、現在リッター200円と日本より高いのに、タクシーの料金は、日本の5分の1、これも不思議だと。はい、ほんとうに、不思議。こちらも、タクシー業界、すくなくとも、運転手さんはかなり厳しい状況のようですが、いったい、どこに違いがあるんでしょう? どなたか、ご存じの方、教えてください。
つぎに、日本からの翻訳本が実は減ってきている。というのは、日本の経済力の低下からか、ビジネス本の人気が低下し、その分、アメリカのビジネス本が増えてきているとのこと。これについては、日本の近年の、勝間さんと弊社の伸びに象徴される、新しいビジネス書の広がりについて、しっかりレクチャー(?)しちゃいました。同じようなブームが、すぐにでも起きる、起こせるはずだと。もちろん、勝間さんも小宮さんも、しっかり宣伝しておきました。
とまあ、このあたりで……。国家レベルでは、いろいろとありますが、事実上、日本の本を韓国の方はたくさん読んでくださっているわけで(弊社の本も、ほとんどが韓国に版権うれています)、そのあたりから、自然に信頼がうまれれば、いいなと思っていますが、どうなんでしょう。




コメント、ありがとうございます。
tohさま、そうですか、タクシーのウンちゃんのお給料、お話くださったKさんの勘違いだったんでしょうね。
それにしても、やっぱり、日本のタクシーは高い!?
日本語書籍、最大手の教保文庫さんが、日本のものは直取引はいやでトーハンで、ということなのですが、いま、このKさんに、ご相談しているところです。
少々、お待ちを!
手紙の達人さま
日本のビジネス書が同じ内容だから? うう〜ん、出版社としては、なかなか厳しいお言葉。確かにそういう面もあるかもしれませんね。
なにせ、まねっこがまかり通るわけですから。
これからも、ご意見、よろしくおねがいします!!
投稿: 干場弓子 | 2008年7月17日 (木) 22:39
韓国の状況、非常におもしろく読ませて頂きました。
初めて書き込みをします。「手帳の達人」です。
日本からの翻訳本が減ってきているというのは、
経済力というより、同じ内容だからなのではないでしょうか。
近年のビジネス書は10ページも読めば先が読めますよね。
経済というより、質の低下じゃないかと思います。
アメリカのビジネス本も同じ状況なのですが、
視座がちょっと変えて出版している本が多いように感じます。
だから、かなりごまかされる。
日本のビジネス書は、視点が同じ本が多く、
違いは「語り口」だけのような状況だと思っています。
手帳の達人でした。
投稿: 手帳の達人 | 2008年7月17日 (木) 19:09
干場社長、こんにちは^^在ソウルのtohです。
ところで、この25万円という数字、これはサラリーパーソンの平均収入かと思います。タクシー運転手さんの場合は10万~12万円のはず・・・。昨今10万円以下とも言われています。(気になって調べてみました) 日本以上にタクシー運転手さんの生活は苦しいはずです。業者さんがおっしゃる月収25万円は、ありえないのではないかと思いますが・・・。
教保文庫や永富文庫の場合、会員になると外国語書籍も20%OFFで購入できます。ネットだと1万ウォン以上の買い物で送料無料で、さらに割引になり、そしてポイントも貯まります。これは出版社さんの負担だったんですね。
ディスカバーさんの本、翻訳だけではなく、日本語書籍も置いて下さい~!お願い致します。
投稿: toh | 2008年7月17日 (木) 11:42